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樹脂の耐熱性と連続使用温度一覧
材料物性学

樹脂の耐熱性と連続使用温度一覧

本記事では樹脂の耐熱性、とりわけ連続使用温度について、その基礎から各種材質の比較、設計上のポイントまで解説します。樹脂ごとの耐熱メカニズム(分子構造や結晶性)、代表的な材質の耐熱温度、そして実務における注意点を把握することで、設計者は用途に最適な材質を選択しやすくなります。高温下環境で樹脂部品を使用する際は、ぜひ本記事の内容を参考に材質のポテンシャルを最大限に引き出しつつ、安全で信頼性の高い製品設計に役立ててください。樹脂(プラスチック)の耐熱性とは、材質が高温下でどれだけ性能を維持できるかを示す指標です。特に重要なのが連続使用温度と呼ばれるパラメータで、機械的・電気的特性が著しく劣化しないで長期間使用できる温度上限を指します。ただし、連続使用温度は一義的な値ではなく、評価規格や評価対象特性(電気・機械など)、想定寿命によって定義・数値が異なることには注意しましょう。たとえば、自動車エンジンルームや工業用機器の部品では、動作中に高温にさらされるため、この連続使用温度を超えない材質を選定することが信頼性確保の鍵となります。一般的に耐熱樹脂と呼ばれる材質は、目安として連続使用温度が150℃以上(短時間なら250℃程度まで耐える)と定義されることが多く、150℃を超える環境でも長期使用に耐える高性能な樹脂を指します。樹脂の連続使用温度は、製品の寿命や安全性にも直結するため、材質選びの重要な判断基準になります。なお、樹脂の耐熱性には、短期的な耐熱温度(熱変形温度HDTなど)と長期連続使用温度の2種類があります。熱変形温度は一定荷重下で試験片が変形してしまう温度で、瞬間的な耐熱限界を示します。一方で連続使用温度は、規格や想定寿命などの条件下で物性低下が一定範囲に収まるとされる温度上限で、長期信頼性の目安となります。ただし、温度が範囲内でも劣化は進み、薬品・紫外線・荷重条件などで信頼性は変わります。つまり、短時間であれば耐えられる温度でも、長期間その温度に晒すと劣化が進み性能が損なわれる場合があり、その境界がおおよそ「連続使用温度」として示されます。この章では、各種樹脂材質の代表的な連続使用温度の目安を以下の表にまとめました。実際の値は、グレードや評価方法によって異なるため、おおよその参考値です。低~中温域では汎用樹脂、高温域ではエンプラやスーパーエンプラが使用される傾向が読み取れます。樹脂の耐熱性は、主に材質の分子構造や物性によって決まります。分子構造上、鎖を構成する原子間の結合エネルギーが高いほど熱に強く、また分子鎖同士の運動が抑制されるほど軟化しにくくなります。この章では、耐熱性に影響を与える代表的な因子を解説します。分子構造の剛直性(芳香環や架橋構造)、結晶性の度合い、添加剤や強化剤の有無が、樹脂の耐熱性を決定づける主要因子となります。これらに加え、樹脂の分子量(鎖長が長いほど熱で鎖運動が起きにくい)や官能基の安定性(エステル結合は加水分解しやすく高温多湿に弱いなど)も耐熱劣化特性に影響します。耐熱性向上の材料開発では、主鎖に耐熱性の高い構造単位を導入したり(PA4TやPA9Tのようにポリアミドにベンゼン環を導入)、結晶構造を最適化したりする工夫がなされています。高耐熱樹脂の多くは、分子骨格中にベンゼン環などの芳香族構造を含んでおり、これが熱安定性を高める大きな要因となっています。ベンゼン環のような剛直な環状構造では、加熱によって分子鎖が動き出すのを強く抑え、分子が熱で分解に至るまでに多くの結合切断が必要になりやすく(アルカン鎖などの脂肪族構造では単一結合の切断で済む)、結果的に樹脂の融点や分解温度が高くなります。たとえば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)やポリフェニレンサルファイド(PPS)などは主鎖に芳香環を有し、優れた耐熱性を示します。また、エポキシやフェノール樹脂のように、熱硬化性樹脂は加熱によって三次元網目状に架橋構造を形成するため、一度硬化すると溶けずに高温でも形状を維持できるという特徴があります。樹脂は半結晶性と非晶質(アモルファス)の大きく2種類に分類でき、この違いが耐熱挙動に影響します。半結晶性樹脂では、分子内に結晶領域が存在し、明確な融点を示します。融点に達するまでは、剛直な結晶構造のおかげで高温下でも比較的形状と強度を維持しやすく、熱的に安定です。一方で、非晶質樹脂(アモルファス樹脂)は分子鎖が無秩序に絡み合った構造のため、はっきりした融点を持たず、加熱するとガラス転移温度(Tg)付近から徐々に軟化していきます。そのため、非晶質樹脂は一般的に半結晶性樹脂と比べて耐熱変形温度は低めですが、逆に成形収縮が小さく寸法安定性に優れる、透明性を持つものが多いなどの長所もあります。総じて、結晶性が高く融点の高い材質ほど高温下で剛性を保ちやすいため、耐熱性に優れる傾向があります。ただし、結晶化度が高すぎると低温で脆くなるなどのトレードオフもあります。樹脂は必要に応じて耐熱安定剤や強化フィラーを配合することがあり、これも熱特性に大きく影響します。典型的な例として、ガラス繊維強化では、樹脂にガラスファイバーを混ぜることで高温下での剛性・寸法安定性を向上させ、結果として耐熱変形温度や連続使用温度を引き上げる効果があります。たとえば、ガラス繊維で強化したポリアミド(ナイロン)は、未強化品に比べて10~20℃程度連続使用温度が向上します。また、セラミック系フィラーや炭素繊維の添加、難燃剤の配合(自己消火特性の付与によって高温下での安全マージンが増す)なども耐熱性改善に用いられます。一方で、可塑剤の添加はガラス転移温度を下げて樹脂を柔軟にするため、高温下では不利になる場合があります。添加剤の種類と量は、最終製品の耐熱限界や劣化挙動を大きく左右する重要な設計パラメータです。以上のように、分子構造の剛直性(芳香環や架橋構造)、結晶性の度合い、添加剤や強化剤の有無が、樹脂の耐熱性を決定づける主要因子となります。これらに加え、樹脂の分子量(鎖長が長いほど熱で鎖運動が起きにくい)や官能基の安定性(エステル結合は加水分解しやすく高温多湿に弱いなど)も耐熱劣化特性に影響します。耐熱性向上の材料開発では、主鎖に耐熱性の高い構造単位を導入したり(PA4TやPA9Tのようにポリアミドに芳香環を導入など)、結晶構造を最適化したりする工夫がなされています。樹脂材質は、その性能と用途から汎用樹脂、エンジニアリングプラスチック(エンプラ)、そしてスーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)の大きく3種類に分類されます。耐熱性の観点から各分類の代表例を概観し、典型的な連続使用温度について比較してみましょう。汎用樹脂とは、大量生産され幅広い用途に使われる一般的な樹脂を指し、価格が安く扱いやすい反面、耐熱性は高くないものが多いです。代表的な5大汎用樹脂には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリスチレン(PS)、そしてABS樹脂(ABS)が挙げられます。これらは通常、連続使用温度がおおよそ50~100℃程度であり、100℃を超える高温環境で長時間使用すると変形や劣化が生じやすくなります。たとえば、家庭用品や日用品に使われるポリエチレンやポリプロピレンは、80~100℃前後が実用上の耐熱限界で、沸騰水程度の温度で長時間使用すると軟化・変形する恐れがあります。塩化ビニル(PVC)は耐候性に優れ配管などに使われますが、耐熱性は60~80℃程度で、それ以上では硬質塩ビは脆化し可塑剤を含む軟質塩ビは軟化します。ポリスチレン(PS)やABS樹脂も耐熱はせいぜい80~100℃程度で、電子レンジや自動車エンジンルームのような高温には向きません一応、ABSには耐熱グレードもありますが、連続使用では100℃強が限度です。汎用樹脂は100℃未満の用途(日用品容器、玩具、家電筐体など)でコスト重視で使われる一方で、これ以上の温度がかかる用途では、次に述べるエンプラ材質が検討されます。エンプラ材質は汎用樹脂よりも機械的強度や耐熱性に優れ、自動車や機械部品など比較的過酷な環境下での使用に耐える樹脂群です。明確な定義はありませんが、一般的に連続使用温度がおおむね100℃以上を満たす樹脂がエンプラと呼ばれます。代表的な5大エンプラとして、ポリアミド(PA、ナイロン)、ポリカーボネート(PC)、ポリアセタール(POM, デルリン)、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE、通称PPO樹脂)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)が挙げられます。これらは分子構造中にベンゼン環などを含むものが多く、汎用樹脂よりも分子鎖が剛直なため、高温下での性能維持に優れています。たとえば、ナイロン(PA66)は約260℃の融点を持つ半結晶性樹脂であり、連続使用温度は100℃前後が目安で、強化・耐熱グレードではさらに上がる場合があります。ポリカーボネート(PC)は非晶性ですが、ガラス転移点が147℃と高く、連続使用温度は約120℃程度で自動車灯具や電子機器筐体にも耐え得ます。ポリアセタール(POM)は摺動特性に優れ歯車などに用いられますが、耐熱はおよそ100℃前後です。エンプラは汎用樹脂と比べて、高温下でも強度・剛性を保ちやすく、100~150℃程度までの用途で広く活躍しています。もっとも、エンプラと言えども150℃を超えるような領域では長期使用に耐えられないため、さらに高性能なスーパーエンプラが必要になります。スーパーエンプラはエンプラよりもさらに高い耐熱性・強度・耐薬品性を持つ最先端の樹脂材質です。一般的に、連続使用温度が150~200℃を超えるような樹脂がこのカテゴリに属し、自動車の高温部品や航空宇宙分野、電子デバイスなど、極めて厳しい環境下で使用されます。スーパーエンプラの多くは、分子構造中に大量の芳香環や強固な化学結合を含み、熱的・化学的安定性を飛躍的に高めています。代表例として、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド(PI)、ポリベンズイミダゾール(PBI)などが挙げられます。これらの樹脂は、連続使用温度で200~300℃に達するものが多く、たとえば、PPSは約200℃、PEEKは250℃前後の環境で長期使用可能です。なかには、PBIのように300℃を超える温度域でも機械的強度を維持できるものも存在し、金属代替材料として注目されています。ただし、スーパーエンプラは非常に高価で加工も難しいため、要求される性能とコストとのバランスを見極めて選定する必要があります。近年の電気自動車や航空機の技術革新に伴い、スーパーエンプラの需要は高まっており、部品軽量化や高温環境での信頼性向上に寄与しています。実際の樹脂の耐熱性能は、材料データシート上の数値だけでなく、成形加工条件や製品設計にも大きく左右されます。この章では、成形時の要因と設計段階で注意すべき点について解説します。樹脂を成形加工する際の条件(射出成形の樹脂温度・金型温度、冷却速度、二次加工の有無など)は、最終製品の耐熱性に直結します。たとえば、半結晶性樹脂では、冷却速度が速すぎると十分な結晶構造が形成されず結晶化度が低下し、その結果耐熱性(熱変形温度や連続使用温度)が下がることがあります。逆に、成形後にアニール(熱時効処理)を行い、結晶化度を高めることで、耐熱性を向上させられる場合もあります。実際に、PEEK樹脂部品などでは成形直後に熱処理して、内部応力を除去しつつ結晶化を促進する工程が推奨されています。また、成形時の熱履歴も重要です。射出成形では、樹脂の溶融温度や滞留時間が長すぎると分子鎖が熱劣化し、分子量の低下によって高温下での強度が落ちてしまいます。特に、ポリカーボネートやポリエステル樹脂など、加水分解しやすい材質は、乾燥不足で成形すると分解が進み耐熱性・機械強度が低下します。このように、適切な成形条件で材質本来のポテンシャルを引き出すことが、耐熱特性確保の前提となります。樹脂部品を高温用途に使う際は、材料選定のみならず設計段階での対策も欠かせません。まず、使用温度が材質の熱変形温度(HDT)やガラス転移点を超えないように設計することが基本です。高温下で荷重がかかる部位では、HDTに十分な安全率を持たせないと変形や歪み(熱たわみ)が発生し、機能不全に陥る恐れがあります。高温環境では、樹脂のクリープ(長時間荷重下での徐々な変形)が早まるため、荷重を分散する構造や補強リブの追加などで対応します。次に、寸法安定性にも注意が必要です。樹脂は一般的に金属よりも熱膨張係数が大きく、高温になると膨張してクリアランスが変化したり、冷却時に収縮不均一によって反りや変形が起きることがあります。半結晶性樹脂では、繊維強化や充填剤の利用で膨張を抑えられますが、設計段階でも使用温度範囲での寸法変化を見込み、クリアランスや公差を設定することが重要です。さらに、熱劣化への備えも考慮しましょう。樹脂は空気中で高温に曝されると、酸化によって徐々に劣化し、変色・クラック・脆化が生じます。必要に応じて、耐熱安定剤入りのグレードを選択したり、金属部品で遮熱したり、通気を良くして過度な熱蓄積を防ぐ対策が有効です。環境要因では、湿度や紫外線(UV)、薬品の影響も見逃せません。たとえば、ポリカーボネートやナイロンは湿度の高い環境下で高温にさらされると、加水分解や加水膨潤を起こし、ガラス転移温度の低下や寸法変化を招きます。屋外で高温使用する場合は、UVカット剤の添加や耐候グレードの採用が望ましく、化学薬品と高温が重なる環境では、耐熱かつ耐薬品性を備えた樹脂を選ぶ必要があります。たとえば、高温下での強アルカリにポリカーボネートは不適なため、PPSやPEEKが適します。総じて、「材質の潜在的な耐熱性能を損なわない成形」と「使用環境に応じた設計上の配慮」が組み合わさって、はじめて紙面上の連続使用温度通りの性能が実現されると言えます。最後に、経験者の視点から高温環境での樹脂材料選定に関するポイントをまとめます。最適な材質を選ぶためには、まず、製品の使用環境と要求特性を正確に把握することが重要です。その用途で想定される温度範囲(常用温度と短時間の最大温度)、必要な機械的強度・剛性、さらには絶縁性や耐電圧性などを明確に定義します。たとえば「最高○○℃で○時間連続使用し、機械的強度が初期の80%以上維持できること」などの目標を設定し、それを満たせる樹脂候補を絞り込みます。また、材料データシートの連続使用温度や相対温度指数(RTI値)は実験室環境での長期耐熱性を示す指標ですが、設計にあたっては十分な余裕を持った温度マージンを取ることが肝要です。できれば、樹脂は連続使用温度の8~9割程度までに抑えて使う方が安全で、設計寿命中に想定外の温度上昇があっても破綻しないようにします。要求特性を満たす材質は複数あり得ますが、コストと性能のトレードオフを考慮した選定が必要です。高機能樹脂ほど原料価格や成形費用が高くなり、特殊な加工プロセスを要する場合もあります。したがって、必要以上に高価なスーパーエンプラを用いると、コスト超過や加工性の悪化につながる可能性があります。たとえば、200℃程度の使用条件であれば、短時間では最高300℃に耐えるPEEKではなく、より低コストなPPSやナイロン系で代替できないか検討する価値があります。また用途によっては、ポリプロピレンやASA樹脂などの比較的安価な材質でも十分に要件を満たすケースもあります。複数候補の中から、必要最低限の性能を満たしつつ、コスト効率の良い材質を選ぶことが求められます。使用環境(周囲の温度・湿度、大気か密閉か、屋内外、薬品接触の有無など)が材料選定に与える影響も見逃せません。たとえば、高湿下では吸湿しやすい樹脂は、寸法変化や強度低下を起こすため、ナイロンよりもPPSやPBTの方が有利です。屋外の高温環境であれば、紫外線による劣化も考えて、耐候グレードやUV安定剤入りを選ぶ必要があります。また、化学プラントの高温部品なら、媒体となる薬品に耐える樹脂(フッ素樹脂系やPEEKなど)を選定する必要があります。環境要因によって樹脂の耐熱寿命は大きく左右されるため、データシート上の数値だけでなく、実使用環境での劣化試験結果や類似事例を参考に材質を評価すると安心です。とある調査では、材質の選択ミスは樹脂製品の故障原因の中で、全体の約45%という大きな割合を占めるとのデータもあります。実際に、耐熱要求を満たさない樹脂を選んでしまったために製品テスト中に破損し、のちのち適切な高耐熱材質に変更することで問題を解決したという事例もあります。このような失敗を避けるためには、材料選定段階で「最悪条件でも性能を維持できるか?」を十分検討し、必要ならば設計変更や材料変更を厭わない姿勢が大切です。また、開発初期に複数の材質で試作評価を行い、早い段階で問題を顕在化させておくことも有効です。経験者の教訓として、「カタログスペックを鵜呑みにせず、安全側に倒した材料選択を」や「迷ったら実サイクルの環境試験を実施せよ」といった心得が知られています。材料選定は製品の成否を左右する重要事項であり、十分な情報収集と検討を行うことで、はじめて安心して使用できる樹脂材質を選定することができます。樹脂の耐熱性は、高温環境下で性能や形状をどこまで維持できるかを示す重要な指標であり、実務では短期の耐熱温度よりも連続使用温度の把握が欠かせません。材質ごとに耐熱限界は大きく異なり、分子構造や結晶性、添加剤の有無、さらに成形条件や使用環境によって実際の耐熱性能は変動します。使用温度の設定: 連続使用温度やHDTを基準に、安全率を持たせて設計温度を決める成形条件の最適化: 樹脂温度・冷却速度・乾燥条件を適正化し、結晶化不足や熱劣化を防ぐ寸法安定性への配慮: 熱膨張や反りを想定し、クリアランスや補強リブで変形リスクを低減する環境要因の考慮: 湿度・紫外線・薬品接触などの影響を見込み、耐候・耐薬品グレードを選定する樹脂の耐熱性はカタログ数値だけで判断せず、材質の特性や加工条件、使用環境を総合的に見極めることで、長期的に安定した性能と信頼性を確保できます。Quick Value™(クイックバリュー)は、当社バルカーが提供する樹脂加工品向けのデジタル調達サービスです。エンプラ材質やスーパーエンプラなどを高温環境で使用される部品として、図面データ(2D図面・3D CAD)をアップロードするだけで価格と納期の目安を即時に確認できます。多数の加工パートナー企業の設備情報や加工実績、受注状況と図面情報を照らし合わせて、材料特性や加工難易度を踏まえた見積結果を原則2時間以内に提示します。耐熱グレードや強化材入り樹脂など、条件が複雑になりやすい案件でもスピーディーな検討が可能です。従来のように複数社へ個別に見積依頼を行う必要がなく、耐熱樹脂部品の試作段階から量産検討まで効率化できるメリットがあります。高温用途の部品開発における、材料選定後の調達プロセスをスムーズに進めたい場合に有効な手段といえるので、まずは無料見積もりをお試しください。

導電性樹脂とは?樹脂別導電グレード一覧や種類・選び方
材料物性学

導電性樹脂とは?樹脂別導電グレード一覧や種類・選び方

本記事では、導電性樹脂の基礎について包括的に解説します。軽量で自由な成形性を持ちながら必要十分な導電性を発揮できる導電性樹脂は、今後ますます材質選びの重要な選択肢の一つになるでしょう。設計者にとっては、金属材料と絶縁性樹脂の中間に位置する新たなソリューションとして、性能・コスト・環境面のバランスを見極めつつ活用していくことが求められます。製品要件にマッチした導電性樹脂を賢く選び取ることで、軽量化・一体化・生産性向上・環境配慮といった多くのメリットを享受できる可能性が広がっています。導電性樹脂とは、電気を通す性質を持つプラスチック材質の総称です。通常の樹脂(プラスチック)は電気を通さない絶縁体ですが、特別な工夫により電気伝導性を付与することで導電性プラスチック(導電性ポリマーと呼ばれることもあります)が実現します。一般的に、導電性樹脂には大きく分けて2種類のアプローチがあります。一つは「導電性高分子(導電性ポリマー)」と呼ばれる素材自体が分子構造上、電子を移動させる機能を持つ高分子材料です。もう一つは、「導電フィラー(充填材)」と呼ばれる電気を通す粒子や繊維を、通常の樹脂に混ぜ込んで複合化したものです。前者の例としては、ポリアセチレンやポリアニリンなどが挙げられ、1970年代に白川英樹博士らがポリアセチレンのドーピングによる高導電化を発見し、2000年にはノーベル化学賞を受賞しています。後者の例としては、炭素粒子をポリエチレン樹脂に混ぜた「導電性PE」など、市販の各種導電樹脂製品の多くはこちらに該当します。導電性樹脂が電気を通す仕組みは、導電成分が樹脂中でネットワーク状に繋がることで電流の通り道ができることにあります。特にフィラーを混ぜ込む場合、ある一定以上の濃度になると急激に導電路が形成され抵抗が下がる現象(パーコレーション現象)が知られています。このため、フィラーの種類と含有率を調整することで、半導体的な帯電防止レベルから高い導電レベルまで幅広い抵抗率の材料を作り分けることができます。導電性樹脂は金属ほどの高い導電性には及ばないものの、軽量で柔軟なプラスチックに電気を通す機能を付与できる点が大きなメリットです。その結果、電子機器から自動車まで、さまざまな分野で金属材料を置き換える新素材として注目されています。この章では、各種樹脂母材(ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、PPS、PC、PEEKなど)における導電グレード製品の一覧表にまとめました。それぞれの導電グレードの概要(導電フィラーの種類、特徴、代表的用途など)についても解説しています。それでは、プラスチックにどのようにして導電性を持たせるか、その代表的な方法を解説します。先述の導電性高分子(ICP)は、材料自体が電子を移動できる構造を持つため特別な化学的な添加処理によって導電性を発現させます。一方で、導電性フィラーを用いる方法では、樹脂に以下のような導電材を配合することで電気を流す経路を形成します。導電性樹脂を作る方法としては「樹脂自体を導電性にする」か「導電性の物質を樹脂に混ぜる」かの2通りがあり、特に後者では、どの種類のフィラーをどれだけ配合するかが重要になります。配合技術としては、樹脂ペレットと導電フィラーを押出機などで溶融混練するコンパウンド工程が一般的であり、フィラーを均一に分散させることが高い性能を引き出す鍵です。近年では、二軸押出機による高度な分散技術や、混合状態を評価するX線CT(マイクロCT)なども活用され、導電フィラーの効果を最大化する生産技術が発展しています。もっとも一般的な導電フィラーです。例として、カーボンブラック(微細な炭素粒子)、グラファイト(黒鉛微粉末)、カーボンファイバー(炭素繊維)、カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェン(炭素原子のシート状構造)などが挙げられます。これらは、比較的軽量で化学的安定性が高く、樹脂中で導電ネットワークを形成して電気を通します。カーボンブラックは古くから使われる安価な添加剤で、主に静電気防止や低~中程度の導電性付与に用いられます。カーボンファイバーやCNT、グラフェンはカーボンブラックよりも高い導電性を持ち、少ない量で導電ネットワークを構築できるため高性能用途向けに利用されます。銅粉末や銀粉末、ニッケル粉末などの金属粉、あるいは繊維状にした金属ファイバーです。金属は本質的に高い導電率を持つため、これらを高充填すれば樹脂に非常に高い導電性を付与できます。たとえば、銀や銅の微細粒子を高濃度で練り込んだ樹脂は、カーボン系より桁違いに低い抵抗率が得られ、コネクタ筐体や電子機器ハウジングの電磁波シールド用途などに使われます。ただし、金属フィラーは比重が大きく重量増になること、高価であること、さらに銅やアルミニウムなどは酸化による劣化のおそれもあるため注意が必要です。上記以外にも、弱い導電性を付与するための添加剤として界面活性剤型の帯電防止剤などが挙げられます。たとえば、ステアリン酸エステル系の添加剤(PETSなど)は樹脂中でわずかな電離性成分を発現し、プラスチック表面の静電気を逃がす帯電防止用途に用いられます。これらは安価ですが、強い導電性は得られないため、一時的な静電気対策用途に限定されます。導電性樹脂に使用される導電フィラーにはさまざまな種類があり、その選択は求める導電性能とコストや他の特性とのバランスで決まります。この章では、一般的なフィラー種別ごとの特徴と、材料選定時のポイントについて解説します。極めて微細な炭素粒子で、安価かつ広く利用されています。比較的高い充填量が必要ですが、均質に分散させやすく、安定した静電気拡散性能が得られます。安価な割に効果が大きいため、帯電防止用途(静電気を緩やかに逃がす程度の用途)や低~中レベルの導電性付与に適しています。ただし、高濃度で配合すると樹脂が黒色に着色されるため、着色性が犠牲になる点に留意が必要です。また多量の充填により機械特性(靭性など)が低下しやすい傾向もあります。カーボンブラックより高いアスペクト比(長さ径比)を持つため、より少ない添加量で導電ネットワークを構築できます。たとえば、約30%程度の炭素繊維を混合すれば、かなり低い体積抵抗率が得られます。また、繊維自体が補強材となり、機械的強度や剛性を高める効果も期待できます。そのため、自動車や航空機の構造部材のように強度と導電性の両立が求められる用途で選択されます。一方で、繊維長さによる成形時の取扱い難しさ(折損防止など)や、表面に繊維が露出して外観が粗くなる可能性に注意が必要です。カーボン材料の中でも、ナノテクノロジーを駆使した新しいフィラーです。CNTは筒状の分子構造、グラフェンはシート状の炭素原子膜で、いずれも非常に高い導電性と高アスペクト比を持ちます。少量(数%程度)でも導電ネットワークを形成でき、樹脂の本来の機械的柔軟性をあまり損なわずに高い導電性を付与できる点が利点です。現在は、センサやアクチュエータなど高性能電子部品向けや、軽量・高強度を生かした先端用途に用いられています。ただし、単価が高価であること、樹脂中で凝集しやすく分散の難易度が高いことが課題となります。また、CNTやグラフェンを含む複合材料は黒色となるため、着色用途には向きません。フィラー自体の導電率が極めて高いため、もっとも高い電気伝導性を発現できます。十分な量を充填すれば、成形品全体でほぼ金属並みの低抵抗を実現することも可能です。銀や銅は電磁波シールド(EMIシールド)用途で頻繁に使われ、たとえば、電子機器のコネクタや筐体内部に塗布・成形して外来ノイズを遮蔽するのに用いられます。一方で、銀は材料コストが非常に高い、銅は酸化被膜の形成や腐食の問題がある、金属全般に比重が大きく重量増につながる、といったデメリットもあります。このため、金属フィラーは必要最低限の量で、目的の導電性を満たすように配合設計されるのが一般的です。また、最近では金属と他のフィラーを組み合わせて相乗効果を狙ったハイブリッドフィラー(ニッケルめっき炭素繊維など)も開発されています。金属フィラーの一種ですが、繊維状で高アスペクト比を持ちます。ステンレス製の極細ファイバーは、少量でも効果が高く、CNTに匹敵する導電性を発現する例もあります。また、フィラー自体が銀や銅より安価で、着色も可能(炭素系フィラーと異なり材料が黒くならないため)といった長所があります。ステンレスは機械的強度や耐熱性にも優れるため、EMIシールドと同時に筐体強度を要求される用途などで検討されます。短所は、やはり高価で比重が大きい点と、高濃度では樹脂の流動性低下や成形加工時の金型摩耗が起こりやすい点です。樹脂自体が導電性を持つタイプです。代表例として、ポリチオフェン系(PEDOT:PSSなど)やポリピロール、ポリアニリンがあります。一般的に、フィルム状の塗布材料や薄膜コーティングとして使われ、樹脂バインダーに混合した導電性インクや塗料の形で製品化されています。ICP単体は、熱可塑性樹脂のような強度や成形加工性を持たないものが多いですが、他の樹脂とブレンドしてペレット化したり、コーティング剤として既存部材に塗ることで利用されます。たとえば、透明導電性フィルム用途では、酸化インジウムスズ(ITO)の代替としてPEDOT:PSSコーティングが開発・実用化されています。ICPは高価ですが、微量で効果を発現でき、かつフィラーと異なり透明性や柔軟性に優れる点で独自の利点があります。ただし、長期間の環境安定性(紫外線や熱による劣化など)は課題となりやすいため、用途に応じた安定化対策(紫外線カット層の追加など)が必要です。選定のポイントとしては、要求される導電性レベルに対し最適なフィラー種と必要量を見極めることが重要です。たとえば、「静電気でホコリを付けない程度」であれば安価な帯電防止剤やカーボンブラックで十分ですが、「電子部品を安全にグランド接続する」にはカーボンファイバーやCNT混入樹脂、「外来ノイズを遮蔽する筐体」にはステンレス繊維や銀コーティング樹脂、といった具合です。高い導電性が必要だからと言って、フィラー量を増やし過ぎると、コスト増や加工性悪化だけでなく、機械強度や靱性低下など他の性能面でのトレードオフも無視できません。そのため、要求仕様を満たす最小限のフィラー量で済むように、高性能フィラーを選んだり複数種を組み合わせる工夫も行われます。実際、フィラー供給メーカーやコンパウンドメーカーは「○○の用途には何%添加」といったガイドラインや専用グレードを提示しており、それらの情報も参考に最適な材料を選定すると良いでしょう。導電性樹脂を検討する上で重要な性能として、電気的特性・機械的特性・耐熱性・成形加工性などが挙げられます。これらについて、導電フィラーの種類や含有率による一般的な傾向を比較します。目的に応じて広い範囲の導電性を実現できます。表面抵抗率でみると、通常の絶縁樹脂は10^12 Ω・m以上ですが、導電性樹脂では10^10~10^4 Ω・m程度(帯電防止用途)から10^4~10^2 Ω・m(静電気放電(ESD)対策)、さらに10^2 Ω・m未満(電磁波シールド用途)まで調整可能です。必要な導電性レベルに応じて、フィラー種類と量を設定し、パーコレーション閾値を超えるように設計します。たとえば、カーボンブラックでは体積比で数十%が必要な場合でも、CNTやグラフェンなら数%で十分な導電ネットワークを形成できます。ただし、金属並みの超高導電(金属の1%以下の低抵抗など)は基本的に難しく、非常に高濃度のフィラーや特殊なフィラーを用いても限界があります。したがって、極めて大きな電流を流す用途(配線そのものなど)では金属に軍配が上がりますが、静電気対策やシールド目的であれば、十分実用レベルの導電性が得られるのが導電性樹脂の強みです。樹脂にフィラーを混ぜ込むと、一般的に靱性や伸びは低下し、剛性や寸法安定性は向上する傾向があります。また、フィラーの種類によっても影響は異なり、粒子状フィラー(カーボンブラックなど)は広く樹脂マトリックスに分散して一様な補強効果を示すのに対し、繊維状フィラー(炭素繊維など)は配向方向による強度の異方性が現れます。さらに、高充填では樹脂が脆くなりがちで、落下衝撃などに弱くなる場合があります。機械的要求が高い部品(構造部材など)では、必要な導電性を満たす範囲でできるだけフィラー量を減らす、あるいは繊維系フィラーで補強効果を狙う、といったバランス設計が求められます。連続使用温度や熱変形温度といった耐熱性自体は、主に樹脂母材の種類に依存します。導電フィラーを入れても、樹脂の融点やガラス転移点が大幅に上がるわけではないため、使用環境温度に応じてポリオレフィン系(PEやPPなど)、エンジニアリングプラスチック系(PCやナイロンなど)、さらに高耐熱スーパーエンプラ系(PPSやPEEKなど)といった母材選択が重要です。しかし、フィラー添加により副次的に熱伝導率は向上する傾向があります。金属や炭素系フィラーはいずれも熱をよく伝えるため、高充填した導電性樹脂は通常の樹脂より熱放散性が高く、発熱する電子部品の放熱材料としても有利です。一方で、温度変化による抵抗値の変動にも留意が必要です。樹脂は熱膨張するため、導電ネットワークの接触状態が変化し抵抗が増減する場合があります。導電フィラーでは、温度上昇に伴い電気伝導度が変化するため、設計時に使用温度範囲での抵抗安定性を評価すべきです。繰り返し熱サイクルを受ける環境では、樹脂とフィラーの熱膨張差による微小クラック発生など長期信頼性の検討も必要です。導電フィラーを多く含むコンパウンドは、一般に溶融粘度が高くなり成形時の流動性が低下します。そのため、射出成形では金型まで樹脂を充填しきれないショートショットや、押出成形では均一な押出が難しくなる等の問題が生じやすくなります。この対策として、充填量を必要最低限に抑える、成形機の温度・圧力条件を最適化する、ゲート径や流路を太く設計する、といった工夫が行われます。また、繊維系フィラーを使う場合、射出成形時の高いせん断応力で繊維が切断され、本来の性能が発揮できなくなるおそれがあります。そのため、必要に応じてスクリュー形状を穏やかな混練向けに変更したり、フィラーを途中からサイドフィードするなどの手法も取られます。さらに、フィラーによっては成形機や金型に対する摩耗性が高いもの(ガラス繊維同様に炭素繊維や金属粉も金型を摩耗させます)もあるため、生産設備の耐久性やメンテナンスも考慮が必要です。総じて、導電性樹脂の成形では「通常の樹脂と金型で成形できるか」や「フィラーを均一に分散させた高品質なコンパウンドを得られるか」が重要なチェックポイントとなります。もっとも近年は、一部メーカーからは加工性と導電性を両立した独自フィラー技術により、通常の射出・押出成形や3Dプリンター造形にも適した高充填導電ペレットも開発・提供されつつあります。導電性樹脂はその特性を活かし、さまざまな分野で実用化されています。この章では、主な用途分野と具体例を挙げます。軽量で成形自由度が高い導電性プラスチックは、電子・電気機器に広く利用されています。たとえば、フレキシブル基板やタッチパネル、各種コネクタ部品に用いられ、配線や接続部分の軽量化・一体化に貢献します。また、スマートフォンやノートPC内部のEMIシールド部材(筐体内側のシールドケースなど)にも、金属箔の代わりに導電性樹脂製のシートや成形品が採用されています。静電気対策用途では、ICトレイや電子部品の包装材にも導電性樹脂製品(導電性PE袋やPSトレイなど)が用いられ、輸送・保管中の静電気放電(ESD)から敏感な電子部品を保護しています。自動車産業でも電子化の進展に伴い、導電性樹脂の用途が拡大しています。代表例の一つは、電磁波干渉(EMI)シールド用途で、エンジン制御ユニット(ECU)や車載電子機器のケースに導電樹脂が使われ始めています。金属ケースに比べて、軽量で成形の自由度が高く、量産コストも低減できるためです。また、燃料系配管部品(フューエルホースやタンク周り)に導電性樹脂を用い、静電気の蓄積・火花放電を防止する例もあります。塗装工程においても、樹脂バンパーなど外装部品に微量の導電材を配合しておくことで車体と同様に静電塗装を可能にし、塗装効率を上げる手法が取られています。さらに電気自動車(EV)では、高電圧バッテリー周辺の部品(バッテリーケースや配線カバー)に導電樹脂が使われるケースもあります。これにより、車両の軽量化と部品点数の削減が図れ、EVの航続距離向上や製造の簡素化に寄与します。特に自動車分野では、大量生産かつ安全性要求が厳しいため、信頼性の高い導電性樹脂材質の開発・採用が進んでいます。医療機器にも、導電性ポリマーの活躍が見られます。たとえば、生体内で使われるカテーテルや各種生体センサーには、微弱な電気信号をやり取りするための導電性ポリマーコーティングが施されている場合があります。これにより、体内の安全なレベルで電流を通し、心臓ペーシングや脳波計測といった医療行為が可能になります。また、医療用電子機器の筐体に導電性樹脂を使い、静電気による誤作動防止やEMIシールドを行う例もあります。近年、注目されるウェアラブル医療デバイス(生体モニタリング用の貼付センサなど)では、伸縮性を持つ導電性エラストマー材料が開発され、皮膚に貼っても違和感のないフレキシブル電極として使われ始めています。医療用途では、生体適合性や安全性も重要であり、金属を使わず樹脂ベースで電極や配線を構成できることは、MRI対応などの点でも有利です。一見縁遠いようですが、建築材料にも導電性樹脂は応用されています。典型例は、帯電防止床や静電気対策フローリングで、エレクトロニクス工場やデータセンターの床材に炭素繊維入り樹脂モルタルや導電性塗料が用いられています。これにより、人や台車の移動で生じる静電気を速やかに逃がし、機器の誤動作や火花放電事故を防止します。同様に、手術室や火薬庫など静電気の厳禁な空間でも、導電性の床・壁コーティングが採用されています。また、スマートウィンドウの分野では、導電性高分子が窓ガラスに塗布され調光(電圧に応じて透過率を変える)に使われたり、透明アンテナ素子としてビルのガラスに印刷される例もあります。加えて、近年の住宅では、床下に導電性樹脂フィルムを敷設した床暖房システム(樹脂フィルム発熱体)なども実用化されており、建築分野でも電気機能を持つ樹脂材質が徐々に普及してきています。製品設計者の観点から、導電性樹脂を実際に採用する際に考慮すべきポイントをまとめます。導電性樹脂は従来の金属や絶縁性樹脂とは異なる特性を持つため、設計段階での注意事項やコスト・性能バランスの見極めが重要です。導電フィラーの種類と量によって得られる導電性は調整可能です。しかし、高い導電性を追求しすぎると、コスト増・性能低下を招くため、「その用途で必要な抵抗値を満たせれば十分」という発想で過剰性能を避けることが経済的です。たとえば、静電気対策なら10^6~10^8Ω程度の表面抵抗で足りて、EMIシールドでも要求シールド効果に応じた抵抗率でよい場合が多いです。要求を満たす中で、もっとも低コストな材質と充填率を選定することが設計上の肝となります。静電気対策部品でも、実用上は機械的強度や耐久性が必要です。導電性樹脂はフィラー量が多いほど脆くなる傾向があるため、強度が必要な部位ではフィラー選択に工夫が要ります。たとえば、筐体のねじ止め部などには、カーボンブラック主体より繊維主体のフィラーの方が強度維持に有利です。逆に、クッション材のように柔軟性が欲しい場合は、エラストマー樹脂にイオン性導電剤を練り込むなどして必要最低限の導電性を持たせる方法も考えられます。繊維系フィラー使用時には、成形方向による強度・導電性の異方性も出るため、形状設計時に繊維配向を想定した肉厚・リブ配置にするなどの配慮も有効です。導電性樹脂コンパウンドを射出成形する際は、流動性低下による不充填やウェルドライン集中による強度低下などに注意します。金型設計では、ゲート位置を複数設けて充填距離を短くする、湯道を太くする、樹脂温度を高めに設定する、といった対策が取られます。フィラーによる金型摩耗対策として、金型にコーティング処理を施すことも効果的です。押出成形品では、口金の摩耗やフィルター目詰まりに気を付け、定期的なメンテナンスを計画します。生産ロットごとに抵抗値ばらつきが出ないように、フィラー分散の品質管理(混練条件の最適化や試験片での抵抗測定)も重要な実務ポイントです。過去の採用事例を参考にすると、導電性樹脂のメリットを最大化しやすくなります。たとえば、自動車の樹脂燃料タンクでは、導電性樹脂を用いることで静電気を逃しつつ、軽量化と腐食フリー化を実現した例があります。近年のEV用コネクタでは、外装シェルに導電性樹脂を採用してシールド性能を持たせ、従来の金属シェルより約50%の軽量化と一体成形によるコストダウンに成功しています。他にも、携帯電話のアンテナ部品で導電性樹脂が使われ、複雑形状の内蔵アンテナを樹脂一体で成形して組立工数を削減したケースなどがあります。このように、金属とプラスチック双方の利点を引き出した設計事例を調査し、自社製品への適用可能性を探ることが有益です。導電性樹脂は「金属ほどの性能はないが設計自由度が高いプラスチック」と位置付けられます。したがって、金属部品を直接置き換える場合、要求特性を満たせるかを丁寧に評価する必要があります。たとえば、シールドケースなら必要なシールド効果(dB)が得られるか、接地スプリングのように通電路になる部品なら抵抗値・発熱は許容範囲か、構造部材なら機械強度・耐熱寿命は問題ないか、などの検討項目があります。導電性樹脂は金属に比べて、軽量・錆びない・加工しやすいなどの利点がありますが、一方で導電率や熱的安定性で劣ることも確かです。そこで、金属部品の機能のうち、どの部分を妥協できるかを判断し、要求を満たせるなら積極的に置き換える、難しければ部分的な採用やハイブリッド構造(金属部に導電性樹脂をインサート成形するなど)に留める、というアプローチが現実的です。幸い、近年の製品設計では、電子部品の小型化・高密度化に伴い細かな形状や一体成形が要求される場面が増えており、そのようなケースでは、設計自由度の高さが勝る導電性樹脂に軍配が上がることも多くなっています。実際「複雑形状だが電気的につながっていてほしい」というパーツでは、射出成形で任意の形状を作れる導電樹脂は極めて有用です。金属代替を検討する際は、小型軽量化・工程集約によるトータルコストメリットも評価しましょう。材料単価だけを見ると金属より高い場合でも、組立工程の削減や製品軽量化による付随メリットを考慮すれば、全体として有利になるケースも少なくありません。導電性樹脂は樹脂に導電性を付与することで、軽量性や成形自由度を保ちながら静電気対策やEMIシールドに対応できる材質です。導電性高分子と導電フィラー複合の2系統があり、用途に応じて抵抗値レンジを設計できます。要求導電レベルの整理:帯電防止/ESD対策/EMIシールドなど、目的に応じて抵抗値目標を設定母材 × フィラーの選定:耐熱・強度・耐薬品性などの母材特性と、カーボン/金属などのフィラー特性を両立配合量と分散品質の確保:パーコレーションを意識し、必要最小限の充填量で性能とコストを最適化加工性・信頼性の評価:流動性低下、摩耗、温度変動による抵抗変化など量産条件での安定性を確認導電性樹脂は金属代替として有効な一方で、導電性・強度・加工性・コストなどのトレードオフが必ず発生します。グレード比較や用途事例を参考にしつつ、部品全体の工程削減や軽量化まで含めた総合最適で材質を選ぶことが重要です。導電性樹脂は要求される抵抗値レンジ(帯電防止/ESD/EMI)やフィラー配合によって候補グレードが分かれ、形状・肉厚・ゲート設計次第で成形性や抵抗値の安定性も変わります。そのため、材料選定と並行して、まず試作して条件を詰める進め方が、立上げの近道になります。当社のQuick Value™(クイックバリュー)は、図面データ(2D・3D CAD問わず)をアップロードするだけで、加工可否の検討に必要な価格・納期の目安を素早く把握できるデジタル調達サービスです。提携パートナーの設備・工法データと図面情報を照合し、試作から量産までの見積取得を効率化できます。導電性樹脂のように「材料 × 加工条件」でコストが動きやすい部品でも、早い段階で概算を掴めるため、設計変更やグレード比較の判断がスムーズになります。試作の段取りや量産立上げの検討に、ぜひQuick Value™をご活用ください。

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